第848回 生医研セミナー(多階層生体防御システム研究拠点)
下記の通り、小泉 修一 先生 によるセミナーを開催いたします。皆様のご来聴を心より歓迎いたします。
演題 / Title
ミクログリアによるアストロサイト病の制御
演者 / Speaker
小泉 修一 先生
山梨大学 大学院総合研究部 医学域 薬理学講座・教授
日時 / Date
2025年1月15日(水) / Jan. 15 (Wed), 2025
15:00〜16:00
場所 / Venue
病院キャンパス 総合研究棟 1階 講義室 101
以下の地図の34番です。
キャンパスマップ
Lecture Room 101, 1F, Biomedical Research Station, Hospital Campus
No.34 on the following linked map.
Campus Map
要 旨 / Abstract
アレキサンダー病(AxD)はアストロサイト遺伝子GFAPの変異により発症する超稀少な難治性神経変性疾患である。てんかん、精神運動発達の遅れを中核症状とする疾患であるが、GFAPの変異が何故このような神経症状を引き起こすのかについては不明のままである。本研究では、AxDモデルマウスを用いた研究により、(1)GFAP変異がアストロサイトでどのような異常を起こすのか、(2)AxDアストロサイトが神経細胞に対してどのような影響を与えるのか、さらに(3)AxDモデルマウスで活性化しているミクログリアの役割は何か?の疑問に答える。AxDアストロサイトは、形態、機能等の性質変化を呈するが、本アストロサイトで貪食系の分子が発現亢進していることが明らかとなった。さらに、AxDアストロサイトは、異常な食能を獲得し、正常なミエリンを貪食して脱髄を引き起こすことを見出した。最後に、AxDモデルマウスで活性化しているミクログリアは、AxDアストロサイトの異常を細胞外ATPの上昇として感知し、それをP2Y12受容体で受け取ることでAxD病態を抑制性に制御していることを見出した。以上、アストロサイト病であるAxDの分子病態には、2つのグリア細胞の異なる機能変容が関与していることが明らかとなった。
連絡先 / Contact
高等研究院 / 生体防御医学研究所(脳機能分子システム分野)
髙野 哲也
092 (642) 4201
Institute for Advanced Study / Medical Institute of Bioregulation
Tetsuya Takano
TEL: 092 (642) 4201