生体防御医学研究所FD(科学論文出版関連)開催

生体防御医学研究所FD(科学論文出版関連)を、下記のとおり開催しますので、ご参加ください。
日 時:令和3年7月7日(水)17時00分~
会 場:オンライン開催(Teams)

講演者:武田 資子 先生(ワイリー・パブリッシング・ジャパン株式会社)
演 題:ハゲタカジャーナルの実態と対策

参加申込み:生体防御医学研究所FD(全学FDポータル)

概 要: 論文のオープンアクセス出版が普及し,著者である研究者が出版費用(APC: Article Publication Charge)を負担するオープンアクセス出版モデルが定着するとともに,APCを得ることのみを目的として論文を集め,適切な査読を行わず粗雑な審査で論文を掲載する「ハゲタカジャーナル」が増えています.ハゲタカジャーナルの台頭は科学への脅威として世界的に認知されており,日本国内でも文科省および大学が,論文の投稿先を慎重に検討するよう研究者へ呼びかけています.しかしながら現在もなお,ハゲタカジャーナルの勢いは衰えず1万を超えるハゲタカジャーナルが科学論文を出版しているとみられています.
ハゲタカジャーナルは,研究成果を上げる重圧にさらされた研究者を狙っています.研究者がハゲタカジャーナルに論文を投稿する理由はいくつかあり,論文の質よりも出版数を重視する,正当なジャーナルで採択される自信がないため確実に掲載されそうなジャーナルを選ぶ,短期間の査読を保証する謳い文句に騙される,ハゲタカジャーナルの正体を見抜けない,ハゲタカジャーナルかもしれないとおもいつつ自身の評価や責任を気にせず投稿してしまう,など様々です.
論文を投稿してからハゲタカジャーナルであることに気付いても,論文の取り下げや撤回に応じてもらえることはまずありません.他のジャーナルへの再投稿も,二重投稿になりますので認められません.信用に値しないジャーナルに掲載されることで自身の信頼の低下を招くことにもつながります.更にはジャーナルサイトが突然閉鎖されてしまうなど論文への長期的なアクセスが担保されないおそれもあります.自身の研究を守るには,論文をハゲタカジャーナルに投稿することのデメリットについて認識を深め,ハゲタカジャーナルを慎重に見分けて回避することが必要不可欠です.
見分ける方法として,以前よりブラックリストやホワイトリストが用いられていますが,両方のリストに含まれるジャーナルも一部あり,ハゲタカジャーナルと正当なジャーナルの境界は曖昧です.1つの基準では見極めの難しい場合もありますが,以下のような複数の基準に照らしてハゲタカジャーナルである可能性を疑いながら,投稿先を選定することをお勧めいたします.1)審査基準を有するWeb of Science,Scopus,MEDLINE,DOAJなどにインデクスされているか,2)ジャーナルのウェブサイトや投稿規定に論文掲載のプロセスや料金の説明が明示されているか,3)ジャーナルのコンテンツに責任を持つ編集者が専門分野内でどのような地位にあるか,4)編集委員リストに氏名と所属機関が明示されているか,5)ジャーナル名,URL,ブランドロゴが正当なジャーナルと類似していないか(なりすましの疑いがないか),など.学術出版関連組織の連携によるThink. Check. Submit.の手軽なチェックリスト(https://thinkchecksubmit.org)を用いてジャーナルや出版社の信頼性を確かめる方法も有効です.査読の質など外部からは見えないこともありますので,一人で判断に迷うときは経験のある指導教官や研究仲間にも相談してください.

質疑応答: オンラインのため、事前に質問がある方は、epigenetics998[@]gmail.comにメールにてお願いします。 講演時にも若干質問を受け付ける予定です。
※ [ ]は外してください。

問い合わせ先

生体防御医学研究所 トランスクリプトミクス分野
内 線:91-4534
Email:yohkawa[@]bioreg.kyushu-u.ac.jp
※ [ ]は外してください。