第800回 生医研セミナー(多階層生体防御システム研究拠点)/
免疫機構研究セミナー
下記の通り、中山 俊憲 先生によるセミナーを開催致します。皆様のご来聴を心より歓迎いたします。
演題 / Title
記憶型病原性Th2細胞による慢性気道炎症の病態制御
演者 / Speaker
中山 俊憲 先生
千葉大学 大学院医学研究院 免疫発生学・教授
日時 / Date
2019年10月31日(木) Oct. 31 (Thu), 2019
17:00〜18:30
場所 / Venue
病院キャンパス 生体防御医学研究所 本館1階 会議室
以下の地図の29番です。
(http://www.kyushu-u.ac.jp/f/35767/2019hospital_2.pdf)
Seminar Room, Main Building 1F, Medical Institute of Bioregulation, Hospital Campus
No.29 on the following linked map.
(http://www.kyushu-u.ac.jp/f/35768/2019hospital-en_2.pdf)
要 旨 / Abstract
「免疫記憶:Immunological Memory」は脊椎動物だけが持つ獲得免疫系(適応免疫系)の象徴的な現象で、リンパ球が主役を果たす。インフルエンザをはじめとする種々の感染症に対する予防接種は、免疫記憶の現象を利用した医療として大いに役立っている。逆に、アレルギーや自己免疫疾患、種々の慢性炎症疾患の発症や病態の遷延化に関与する有害な病原性(pathogenic)の免疫記憶細胞も存在する。種々の慢性炎症疾患の発症や病態の遷延化に関与する有害な記憶型病原性Th2細胞(Pathogenic Th2 cell: Tpath2 cell) の形成、生存、機能維持など、炎症の慢性化・遷延化のメカニズムについて、気管支喘息動物モデルや慢性副鼻腔炎患者のポリープを用いたヒトの炎症巣での解析をご紹介する(Nakayama et al. Ann. Rev. Immunol. 2017, Morimoto et al. Immunity 2018)。病原性記憶Th2細胞を制御することで難治性の慢性アレルギー性炎症疾患をコントロールするという新たな治療戦略のコンセプトを紹介したい。また、最近明らかになったCD4陽性記憶Th細胞の分化における脂質代謝の役割についての研究成果を紹介する(Endo et al. Nature Metabolism 2019)。
参考論文 / References
- Nakayama et al., Ann. Rev. Immunol. 35:53, 2017
- Morimoto et al., Immunity 49:134, 2018
- Endo et al., Nature Metabolism 1:261, 2019
- Ichikawa et al., Nature Immunology (in press)
連絡先 / Contact
生体防御医学研究所 免疫遺伝学分野
福井 宣規
092(642)6828