第711回 生医研セミナー(多階層生体防御システム研究拠点)

下記の通り、北海道大学の高橋秀尚先生によるセミナーを開催致します。
皆様のご来聴を心より歓迎いたします。

演題

新規の転写伸長制御因子Med26の機能解析

演者

高橋 秀尚 先生 
北海道大学大学院 医学研究科 生化学講座 医化学分野・講師

日時

2016年 3月 8日(火) 17:00~18:00

場所

病院キャンパス内 生体防御医学研究所 本館1階 会議室
以下の地図の24番の建物になります。
(http://www.kyushu-u.ac.jp/access/map/hospital/hospital.html)

要旨

多くのヒト遺伝子においてRNAポリメラーゼII(以下Pol II)が転写開始後に一時停止していることが明らかになり、遺伝子発現において転写伸長の過程が重要な役割を果たしていることがわかってきた。Pol IIの一時停止が解除されPol IIがRNA合成を再開するためには、転写伸長因子の働きが必要である。 ところが、転写伸長因子が、どのようにして時期特異的に特定の遺伝子領域にリクルートされるのかについて明らかとなっていなかった。われわれは、メディエーター転写複合体のサブユニットMed26が、転写伸長因子を含む複合体Super elongation complex(SEC)を、c-MycやHsp70などのタンパク質をコードする遺伝子領域にリクルートすることを明らかにした【Takahashi H, et al. Cell 2011】。最近、われわれはMed26によってリクルートされる、もう一つの転写伸長因子複合体Little elongation complex(LEC)を同定した【Takahashi H, et al. Nature communications 2015】。解析によって、Med26はLECを、small nuclear RNAなどのnon-coding RNA遺伝子領域にリクルートし、それらの転写を制御することがわかった。Med26がどのような機構によってSECやLECを使い分け、それぞれ異なる遺伝子の転写を制御するのかに関して大変興味深いと考えられる。

業績

  1. Takahashi H, et al.
    Human mediator subunit MED26 functions as a docking site for transcription elongation factors.
    Cell 146, 92-104, 2011.

連絡先

生体防御医学研究所 エピゲノム制御学分野 一柳 健司
Division of Epigenomics and Development, MIB, Kenji ICHIYANAGI
電話:092-642-6760