第22回 (2019年度)・山中伸弥先生(京都大学)

中山 省悟(博士課程3年)・小玉 学(博士課程4年)

本年は、京都大学iPS細胞研究所所長の山中伸弥先生にお越しいただきました。かねてよりSSSにお越しいただきたいと思っていたところ、私が実行委員を務めたときに山中先生をお呼びできたこと、大変光栄でした。

ご講演では、iPS細胞誕生前のお話から、現在の治療応用の最新のお話まで、時に笑いを取り入れながらお話いただきました。科学のお話はもちろんですが、特に、奈良先端科学技術大学院大学で独立された際、どのように大学院生を集めるか、どのようなビジョンを掲げるか、なぜ当時のメンバーに決めたのか、など、我々学生にとって身近なお話をお聞きできたことはとても貴重な経験となりました。

会場は、私たちが普段のミーティングに使っている小さな会議室にしました。本来は山中先生のような方にご講演いただくのに、もっと広い会場を準備すべきところ、今回のような狭い部屋で大変失礼いたしました。通常は30名ほどで満員の部屋ですが、当日は150名超の方にお越しいただきました。参加者の方にも大変窮屈な思いをさせてしまい申し訳ありませんでした。しかし、小さな会場だからこそ、本来ならあり得ない距離の近さでお話を伺うことができ、感激いたしました。いつも自分が発表している場所で山中先生が講演して下さっている…夢のような光景でした。

山中先生、この度は本当にお忙しい中、また、前日にフルマラソンに出場されてお疲れのところ、われわれ学生の無礼なお願いを快くお引き受け下さり、本当にありがとうございました。今回のSSSの運営に携われたこと、忘れられない思い出となりました。またの機会がございましたら、よろしくお願いいたします。

※当日撮影した写真をこのページの下部に掲載させていただいております。

(中山 省悟)

今回は山中先生が大変お忙しい中、私たちのために時間を割いてくださったことは感謝の念に堪えません。本当にありがとうございました。またノーベル賞を受賞された功績に加え、現在もiPS細胞の臨床応用に尽力されている山中先生のセミナーを聴講出来たこと、非常に光栄に思います。

そして何よりもこの公演を通して魅力的な『Vision』を持って研究を進めて来られた先生の姿、生き様に心が揺さぶられました。なんとか手を尽くせばできると考えられる研究visionを持つのではなく、遂行することが不可能だと考えられるようなテーマにも挑んでいくような姿勢、信念が結果的に大発見に結びつくということが身にしみて分かりました。

山中先生はiPS細胞を見出すまでに、多々苦労をされたと伺いましたが、自分も苦労を惜しまず、何らかの形で人に貢献できるような大きな研究テーマに挑んで行こうという勇気が湧いて参りました。

重ね重ねですが、貴重なご講演ありがとうございました。

(小玉 学)

参加していただいた学生および先生方より御感想をいただきましたので、以下に紹介させていただきます。

大変ご多忙の中、ご講演のお時間を割いて頂き誠にありがとうございました。iPS細胞を使った日本の再生医療および薬剤治療の最前線のお話を拝聴できたことは大変貴重な経験でした。iPS細胞の広汎な疾患への治療応用を心より願っております。

山中先生、ご多忙な中、貴重なご講演ありがとうございました。学生を集めるためのビジョン設定やFbw15マウスを用いたスクリーニング系の考案、候補遺伝子の絞り込み方等、先生がiPS細胞をつくるまでに、どんな戦略をとってきたかというお話は、研究者として非常にワクワクしながら聞かせていただきました。また、よく写真で見る先生の真剣な眼差しからは想像もできないような、お茶目で、人間味あふれる部分が講演の所々から垣間見え、研究者としてだけではなく、人としての大きな魅力を感じました。後半のお話では、iPS細胞による再生医療をできるだけ早く、安く、安全に患者さんに届けたいという先生の想いを強く感じ、私も患者さんのためになるような研究をしていきたいと、再認識しました。この度は本当にありがとうございました。

ご多忙中にも関わらず、貴重なご講演を賜りまして誠にありがとうございました。本セミナーは、iPSCの誕生から今後の臨床応用への展望までが凝縮された内容となっていました。iPSCから分化させた細胞を他家移植する上で、免疫拒絶が起きない様にhomo donorからiPSCストックを作製し、骨髄バンクも活用するという戦略には感銘を受けました。研究内容以外で特に印象に残ったお話は、山中先生が大学院のPIになられてから大学院生を募るために、ビジョンを掲げたというものでした。人を惹きつけてやまない魅力的なビジョンを自己の中で確立することは、すでに多くの輝かしい業績を挙げている研究室との差別化を図れるだけでなく、研究者としての人生に多大な影響を与えるということを学ばせて頂きました。私自身も、夢と目標を持って研究の道に進みました。その夢と目標を共有できる仲間を増やすためにも、ビジョンを掲げるという姿勢を忘れない様に研究に邁進したいと思いました。まずは、書中をもちまして御礼申し上げます。

お忙しいなか、またマラソン後お疲れのなかわれわれ学生に貴重なお話をしてくださり大変ありがとうございました。アメリカ留学後の基礎研究からiPS細胞の臨床における最新研究までとても面白く聞かせていただきました。研究の発想や戦略も素晴らしと思いましたが、何より山中先生は人を大事にされていることがとてもよくわかりました。研究初期から現在に至るまで多くの研究者がiPS細胞の研究に関わっており、iPS細胞の可能性と山中先生の人望の厚さが研究を進展させているのだなと思いました。私が現在行う研究はiPS細胞と直接の関わりはありませんが、いつか必ず人の役に立つ研究ができると信じてこれからも頑張ろうと思います。

今回、山中先生のご講演を間近でお聴きすることができ、大変貴重な経験となりました。今や転写因子による細胞の運命転換の研究は多岐に渡っていますが、その先駆けとなった発見の経緯は非常に刺激的でした。新たなパラダイムを生み出すためには、人にはない発想だけでなく、それを絶対に成し遂げるという強い信念が必要であり、並大抵の覚悟では出来ないことでしょう。私も医学・生物学の発展に貢献できるような魅力的な研究の軸を定めるべく、研鑽を積んでいきたいと思います。この度は本当にありがとうございました。

再生医療という夢の治療の種であるiPS細胞の誕生までの過程を、生みの親である山中先生から間近で伺うことができた時間は、非常に貴重なものでした。細胞の形質の初期化という、理論に裏打ちされた魅力的なビジョンの確立と、それを実現されるまでを追体験させて頂いたようで、とてもワクワクしました。大学院生として、研究をしていく上での目標設定や、岐路での決断をどうすべきか、分からなくなることが多々ありますが、そういった状況でのロールモデルとさせて頂きたいと思います。今回は、ご多忙の中に福岡までおいで下さり、有り難うございました。

いつも私たちがミーティングをしている生医研本館会議室に山中先生がいらっしゃり、同じ演台でお話をされているということが信じられず、夢のような1時間でした。iPS細胞発見にいたるまでの思考過程を丁寧にお話頂き、私も山中ラボの一員としてその時の興奮を追体験しているようでした。世紀の大発見も、その1ステップずつは私たちが行う実験と変わりはなく、毎日の実験の積み重ねが大きな成果につながると信じて、これからも日々の研究に励んでいきたいと思います。ご多忙の中、福岡までお越し頂きありがとうございました。

先日は大変ご多忙の中、ご講演頂きありがとうございました。先生がノーベル賞を受賞される以前の話はあまり存じ上げなかったので、よくある苦労話ですが驚きました。今でこそdata-drivenな科学の重要性が増していますが、先生はずっと以前からデータベースを活用されていて、それがiPS細胞の発見に繋がっているのは時代の先取りと感じました。また、臨床に還元される研究をすることは私にとって夢であり、先生の研究話は励みになりました。貴重なお話を聞く機会を頂き、重ね重ねですがありがとうございました。

お忙しい中福岡までお越し下さり、本当に感謝に堪えません。iPS細胞が誕生するまでの過程は論文などで何となく分かっていたつもりでしたが、山中先生から直接 (距離が近くて感激!!) 聞かせていただくと、まるで初めて聞いた冒険話のように感じました。また、臨床応用へ向けた取り組みのお話も非常に印象的でした。基礎医学の知見を臨床応用するということは全く経験がないので、どういうものか全くイメージできていませんでした。でも、誰も成し遂げていないことを達成するために (臨床用のiPS細胞を作るのは、研究用のiPS細胞を作ることの100倍大変だったというお言葉が特に心に残りました) 、問題点を挙げて、それを解決していくというプロセスは、基礎研究と同じかそれ以上にチャレンジングでやりがいがあるものなのだろうなと想像させるお話で、この課題に挺身されている山中先生に心から敬意を感じます。iPS細胞の臨床応用のために克服すべき基礎研究上の問題も教えて下さったので、そのために自分にできることはないか考えていきたいと思いました。

iPS細胞の樹立に関しての苦労されたお話や最近の臨床応用まで、わかりやすくお話しいただき、非常に良い刺激を受けることができました。ご講演と通して、基礎研究が臨床治療に繋がっていく過程を聞くことができて、大変感激したと同時に、自分も社会へ貢献できるような成果を出せるようさらに努力しなければと、強く思いました。この度はお忙しい中、大変貴重なお話を聞かせていただき、本当にありがとうございました。

先日はご多忙にも関わらずご講演をして下さり、ありがとうございました。会場からはみ出すほど人が集まっており、多くの方から期待されている分野であることを実感しました。ご講演では、iPS細胞ができるまで、さらに実用性について教えて頂き、こんなにも医療に応用ができるツールは他にないのではないかと感じました。また、患者さんとの繋がりがあるという話を伺い、研究が人の役に立つことを身近に感じることがより研究意欲を高めているのだろうと印象に残りました。今後さらなる病気の治療に向けて多くの課題があるかと思いますが、次の新しい治療応用について聞けることを楽しみにしています。この度は本当にありがとうございました。

この度はご多忙の中ご講演いただき誠にありがとうございました。iPS細胞が出来た経緯から現在行なっている臨床応用まで、1時間という短い時間では収まりきれないほどの内容を拝聴できとても有意義な時間となりました。特にiPS細胞を作製するにあたって、現在ではよく行われるデータサイエンスを当時から取り入れることで候補遺伝子を絞り、偶然とは仰っておりましたが鋭敏な評価系を立ち上げ、かつ24個の候補全てを発現させたというデータ量からは、知識やアイデアに加え努力も世紀の大発見には不可欠であったと感じました。また、現在行っている臨床研究についても一部ではありましたがお話を伺うことができ、基礎研究が臨床、そして治療に繋がる大切さについて考え直すことができました。重ねてのお礼になりますが、この度はお忙しい中ご講演頂きまして本当にありがとうございました。

お忙しい中福岡までお越し下さりありがとうございました。ずっと講演を聞いてみたいと思っていた山中先生のお話を今回聞くことができて大変貴重な機会となりました。ES細胞の多能性の研究からiPS細胞の作製までのプロセスについてわかりやすく説明してくださりとても勉強になりました。またiPS細胞の臨床応用についても着実に進んでおり、多くの疾患がiPS細胞で治療できるようになる時代が来るのだろうと思いました。この度は本当にありがとうございました。

この度は大変ご多忙の中ご講演頂き、ありがとうございました。山中先生のお話を生医研の会議室で聞くことが出来たということにまず感動しています。iPS細胞の開発のエピソードに加えて、現在進行中の今後の医療への応用についてお話いただき、現在臨床応用への取組みがかなり進んでいることに驚きました。基礎研究の成果により、実際に病気が治る可能性がある患者様が沢山いること、実際に治療として現在細胞の利用が複数の臨床試験で進んでいることはとても素晴らしいことだと思います。この度は貴重なお話どうもありがとうございました。

大変ご多忙の中、九州大学に駆けつけご講演いただき、誠にありがとうございました。時間の都合上質問できなかったことが悔やまれますが、iPS細胞の昔話と現状の課題について端的に整理して理解することができ、とても勉強になりました。今後もこの分野から日本初の画期的な成果が生まれることを大変楽しみにしております。

九州大学 生体防御医学研究所
分子医科学分野
中山 省悟(博士課程3年)・小玉 学(博士課程4年)