第851回 生医研セミナー(多階層生体防御システム研究拠点)
下記の通り、胡桃坂 仁志 先生 によるセミナーを開催いたします。皆様のご来聴を心より歓迎いたします。
演題 / Title
クロマチンによるエピジェネティックなゲノム制御機構
演者 / Speaker
胡桃坂 仁志 先生
東京大学 定量生命科学研究所・教授
日時 / Date
2025年4月9日(水) / Apr. 9 (Wed), 2025
17:00〜18:00
場所 / Venue
病院キャンパス コラボ・ステーションⅠ 2階 視聴覚ホール
以下の地図の36番です。
キャンパスマップ
Audiovisual Room, 2F, Station-I for Collaborative Research, Hospital Campus
No.36 on the following linked map.
Campus Map
要 旨 / Abstract
ゲノムDNAは生命情報を担う分子基盤であり、その全長はヒト1細胞あたり約2メートルに及ぶ。しかし、これが細胞核内に効率的に収納され、適切に機能するためには、高次構造としてのクロマチンの形成が不可欠である。クロマチンは、ヌクレオソームを基本単位とし、遺伝子発現、DNA複製、組換え、修復といったゲノム機能の制御において中心的な役割を果たしている。特に、クロマチン構造の変化を介した遺伝子発現調節は、DNA配列に依存しない遺伝情報の制御機構、すなわち「エピジェネティクス」の根幹をなす。
エピジェネティクスの破綻は、がん、神経疾患、メタボリックシンドロームなど、多様な疾患の発症と関連することが示唆されている。したがって、クロマチンによるエピジェネティックな制御機構の解明は、生命科学のみならず、医学的応用の観点からも極めて重要である。
我々はこれまで、クロマチンの構造多様性やその機能発現機構の解明を目指して、生化学的手法と構造生物学的手法を統合したビジュアル・バイオケミストリーにより研究を進めてきた。本講演では、これらの研究成果を紹介するとともに、クロマチンを基盤とするエピジェネティックな遺伝子制御の分子機構について議論する。クロマチン研究の最前線における知見を共有し、今後の展望について考察する機会となれば幸いである。
連絡先 / Contact
生体防御医学研究所 トランスクリプトミクス分野
大川 恭行
092 (642) 4534
Division of Transcriptomics, Medical Institute of Bioregulation
Yasuyuki Ohkawa
TEL: 092 (642) 4534