この度、名古屋大学医学部付属病院周産母子センターの佐藤義朗博士に生体防御医学研究所でのセミナーをお願いしました。セミナーでは、Center for Brain Repair and Rehabilitation, Institute of Neuroscience and Physiology, University of Gothenburg (Sweden)留学中に行われた研究を中心に「小児脳腫瘍における頭部放射線療法後の脳障害克服を目指して」についてご講演いただきます。皆様是非ご来聴下さい。 |
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日時 | 平成22年12月2日(木)16時〜18時 |
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場所 | 馬出医学系キャンパス内 生体防御医学研究所 本館1階 会議室
以下の地図の20番になります。 (http://www.kyushu-u.ac.jp/access/map/hospital/hospital.html)
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演題 | 小児脳腫瘍における頭部放射線療法後の脳障害克服を目指して
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演者 | 佐藤 義朗 先生 名古屋大学医学部付属病院 周産母子センター
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要旨 |
小児の脳腫瘍は、小児における悪性腫瘍の約1/3を占めるが、この20年間で生存率は飛躍的に向上し、現在では、その70%以上の児が生存する。頭部放射線療法は脳腫瘍に対する最も有効な治療法の一つであるが、その後に起こる認知障害は深刻な問題であり、特に3歳以下の小児においては、その合併症は顕著である。また、放射線療法による認知障害は時間とともに増悪し、少量の頭部放射線療法でも起こり得る。脳腫瘍の小児の生活を改善させるために、この放射線療法後の神経学的合併症を軽減させることは極めて重要であり、急務なことであるが、現在のところその予防法はなく、研究報告も見あたらない。
私達は、幼若マウス/ラットを用い小児頭部放射線障害モデルを作製し、後障害の予防法、軽減法開発に向け研究してきた。これまでに、頭部放射線照射により、海馬歯状回と脳室下帯が選択的に受傷すること、未熟脳では成熟脳より受傷の程度が強いこと、海馬歯状回においての受傷は成獣になっても回復しないこと、各種炎症マーカーは低酸素虚血による受傷時より早くピークを迎えることなどがわかってきた。また、予防/軽減法に関しては、apoptosis-inducing factorの抑制、低体温療法、積極的運動、神経幹細胞の海馬への移植などの可能性を見出している。
本セミナーでは、モデルの作製、これまでにわかってきた放射線療法の未熟正常脳への影響、予防/軽減法に関して紹介する。
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連絡先 | 生体防御医学研究所 脳機能制御学分野 中別府 雄作 電話:092-642-6800 |
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