生医研 免疫遺伝学分野
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   教授からのメッセージ     

                                        プロフィール

  平成4年  九州大学大学院博士課程修了 (笹月健彦 教授)、医学博士 
          九州大学生体防御医学研究所 遺伝学部門 助手を経て、
  平成5年  米国スタンフォード大学 Mark M. Davis 教授のもと へ留学
  平成7年   帰国
  平成11年  九州大学生体防御医学研究所 遺伝学部門 助教授
  平成13年  同上、個体機能制御学部門 免疫遺伝学分野 助教授
  平成16年  同上、個体機能制御学部門 免疫遺伝学分野 教授
  平成22年  九州大学 主幹教授

  受賞等:  平成15年度 日本免疫学会賞受賞
         平成25年度 文部科学大臣表彰 科学技術賞(研究部門)受賞

  趣味:    少年サッカー観戦 (激闘 わかばFC U12はこちらから)
          防波堤釣り (単なる下手の横好き)    



私達は、研究者を志す若い人々を刺激するような、意味のある研究を発信し続けていきたい
と考え、日夜研究に取り組んでいます。

現在、特に興味をもっているのは免疫細胞における細胞骨格制御機構です。細胞骨格の再構築が、様々な
細胞高次機能を制御しているのは良く知られています。しかしながら、免疫細胞、例えばリンパ球はその大部
分が核で細胞生物学的解析に不向きであるため、その制御機構がほとんど理解されていないのが現状です。
私達は自身で同定したDOCK2という分子を足がかりとして、免疫細胞において受容体刺激に伴うシグナルの
‘量’あるいは‘質’が細胞骨格の再構築によりどのように制御されているかを解明していきたいと考えていま
す。そして、このことはきっと移植片拒絶や自己免疫疾患といった現代医学が直面している問題を解決する
糸口を与えてくれるものと確信しています。

生命現象を正しく理解することなくして、真に医学(医療)の発展はありえないーこのことをもっと多くの人に
認識して欲しいと思います。私自身内科医を志したこともあり、1人の患者さんの命を救うという医療行為が
尊いものだということは重々理解しています。しかしながら、本当に意味のある基礎研究は数万、あるいは
数十万の人々の命を救うポテンシャルを秘めているのです。医学部の学生さんには、自分には医療に従事
する以外にも、基礎医学の研究者になるという選択肢があることを知ってもらいたいーそして、自分に自信
のある人こそ、是非チャレンジして欲しいと思います。

研究する上で1番大切なものはなにかと尋ねられたら、ほとんどのprincipal investigatorは’人’だと答える
でしょう。私もそうです。特に大きな研究を成し遂げるには、ひとつの目的に向かって、多様なバックグラウン
ドを持った人々が様々な角度からアプローチするすることが必要です。それ故、現在農学部、理学部、薬学
部、工学部の修士課程に在籍している人の中から1人でも多くの方が私達の研究に参加して、「免疫細胞
における細胞骨格制御」という新しい分野にチャレンジしてくれたらと期待しています。

生命科学の醍醐味はなんといっても、誰も知らない生命現象の神秘を解き明かすことにあります。私は、
未知なる生命現象を解き明かそうと努力したプロセスと、それを解明した喜びを1人でも多くの若い研究者
と共有したいと考えています。そして、そのなかから多くの人が世界に羽ばたいて行くことを切に希望してい
ますし、またそうなるよう最大限のサポートをしたいと考えています。