令和7年度科学研究費助成事業 科研費
学術変革領域研究(A)の公募研究の内容

個体の細胞運命決定を担うクロマチンのエピコードの解読
https://bioreg.kyushu-u.ac.jp/ext/epicode/

領域略称名:細胞運命コード
領域番号:24A306
設定期間:令和6(2024)年度~令和10(2028)年度
領域代表者:立花 誠
所属機関:大阪大学大学院生命機能研究科

https://www.mext.go.jp/content/20240716-mxt_gakjokik-000036775_01.pdf

①領域の概要
本研究領域の目指すところは、ヒストン修飾、ゲノムDNAの3次元配置、エンハンサー・プロモーター間相互作用といった多層的なパラメーターによって定義されるクロマチンの高次構造、すなわち「後天性の暗号」(エピコード)が、細胞の運命決定における根本的な役割を果たしていることを明らかにすることである。これにより、クロマチンの概念を転写の基盤から細胞運命制御の媒体へと大きく変革するパラダイムシフトを実現することを目的とする。
DNAとヒストンからなるクロマチンは、遺伝子発現の制御に密接に関与していることが明らかにされている。しかしながら、個体の発生や細胞の分化過程におけるクロマチンの高次構造の変動が、どのようにして発生段階特異的な遺伝子発現を制御し、細胞の分化方向を定めているのかは、まだ十分に理解されていない。近年、DNA結合タンパク質といった核内要因だけでなく、隣接する細胞からのシグナル、ホルモン、栄養代謝産物といった多様な外的要因がクロマチン構造のダイナミックな変化を引き起こすことが示されつつある。しかし、細胞分化とクロマチン構造の関連を個体レベルで解明する研究は、解析技術の限界により、十分に進展していない。
このため、本研究領域では、転写・ヒストン修飾のライブイメージング、1細胞・空間オミクスなど、網羅性と時空間分解能を飛躍的に向上させる新たなクロマチン解析技術プラットフォームを構築する。これを用いて、生命の生涯にわたる多様なライフイベント(栄養環境応答、長期記憶・老化、経世代情報伝達、初期胚運命)においてクロマチンのエピコードが果たす役割を解き明かす。マウス、ゼブラフィッシュ、ショウジョウバエ、分裂酵母といった多様なモデル生物を用いてエピコードの普遍性と特異性を探求し、試験管内再構成による分子レベルの構造解析や変異体作製へとつなげる。本研究領域は、クロマチンのエピコードを解明し、細胞運命決定機構の基盤を明らかにすることで、生命科学の新たな地平を切り開く。

②公募する内容、公募研究への期待等
本研究領域の公募研究における目標は、ヒストン修飾、ゲノムDNAの3次元的配置、エンハンサー・プロモーター相互作用などの多彩なパラメーターで定義されるクロマチンの高次構造(エピコード)が、細胞運命決定機構の基礎であることを明らかにすることである。計画研究を補完し、また、計画研究の範囲を超えるライフイベントや、新しい手法によるクロマチン解析に焦点を当てた公募研究の参画により、この目標達成を加速することを期待している。
既に、ほ乳類(マウス)、魚類(ゼブラフィッシュ)、無脊椎動物(ショウジョウバエ)、そして真核生物の中で最もシンプルなクロマチン構造を持つ分裂酵母をモデル生物として選定している。公募研究では、エピコードの普遍性や特異性をさらに探求するため、これらの生物種に限らず、さまざまな生物種を対象とした提案を歓迎する。生命のライフサイクル全体のクロマチンのエピコードを解明するためには、計画研究が対象とする生命現象に限定されず、疾患発症のメカニズムを明らかにする提案、特定の生物に特有のユニークな生命現象を対象とした提案、クロマチン構造解析技術の最先端を推し進める提案なども大いに歓迎する。
公募研究には、次世代のクロマチンのエピコード研究分野を牽引する人材を見出し、育成するという重要な狙いがある。この観点から、若手研究者による革新的かつ挑戦的な研究提案を歓迎する。また、男女共同参画を重視し、女性研究者からの応募も特に期待している。期待する公募研究の具体的な例として、① 植物や非モデル生物などの計画研究で使わない生物を対象とする研究; ② 疾患発症のエピコードを解読する研究; ③ 計画研究が対象としていない核内構造を対象とする研究; ④ 深部への到達可能性や、分解能をより向上させたin situクロマチン解析基盤を開発する研究; ⑤ AIを使って多様な階層のクロマチン構造解析を行う研究; ⑥ 数理モデルを使ってクロマチンのエピコードによる細胞運命決定のシミュレーションを行う研究; ⑦ 天然化合物や合成化合物を用いてエピコードを操作する薬剤を開発する研究; ⑧ エピコードの生細胞イメージング技術の開発・改良を目指す研究; ⑨ エピコードを個体に導入するための革新的方法を開発する研究などが挙げられる。これらはあくまで例に過ぎず、多彩な研究提案を期待する。

③公募する研究項目、応募上限額、採択目安件数

研究項目番号研究項目名応募上限額(単年度当たり)採択目安件数
A01個体の細胞運命決定を担うクロマチンのエピコードの解読380 万円15件
Copyright © Deciphering the epicode of chromatin, which controls cell fate decisions in organisms
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