中山研の軌跡(1996-present)
※ 中山が最終著者またはコレスポ
※ 主要な共同研究
1996
p27ノックアウトマウスを作製し、世界で初めてCDKインヒビターの欠損によってがんが生じることを発見した
( Nakayama et al., Cell, 表紙 )
1997
Bcl-2ノックアウトマウスの骨髄移植実験によって、Bcl-2が骨髄幹細胞の生存に重要であることを証明した
( Matsuzaki et al., Blood )
1998
Bcl-2のファミリー分子であるA1のノックアウトマウスを作製し、好中球でのアポトーシスが亢進していることを発見した
( Hamasaki et al., J. Exp. Med. )
1999
F-boxタンパク質FWD1(β-TrCP1/Fbxw1)がβカテニンやIκBを認識することを発見した
( Hatakeyama et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA; Kitagawa et al., EMBO J. )
FWD1と基質の結合様式や他のIκBファミリーに対する反応性などを明らかにした
( Shirane et al., J. Biol. Chem.; Hattori et al., J. Biol. Chem. )
p27のユビキチン化に関する詳細な生化学的解析を行った
( Shirane et al., J. Biol. Chem. )
2000
世界で初めてのF-boxタンパク質ノックアウトマウスであるSkp2ノックアウトマウスを作製し、p27やサイクリンEが高度に蓄積していることを発見した
( Nakayama et al., EMBO J. )
チェックポイントに関わる分子であるChk1のノックアウトマウスを作製し、Chk1が発生段階のDNA傷害チェックポイントに重要であることを示した
( Takai et al., Genes Dev. )
サイトカインレセプターに会合するチロシンキナーゼTyk2のノックアウトマウスを作製し、インターフェロンαに対する応答性やIL-12を介するレスポンスが障害されていることを発見した
( Shimoda et al., Immunity )
IκBキナーゼキナーゼとしてNAKを発見
( Tojima et al., Nature )
p27の主要リン酸化部位がSer-10であることを発見
( Ishida et al., J. Biol. Chem. )
サイクリンのユビキチン化に関わるE2の一つであるmE2-CがAPC/Cによってユビキチン化されることを証明した
( Yamanaka et al., Mol. Biol. Cell )
p57ノックアウトマウスを作製し、ほとんどが出生付近で死亡することを発見。口蓋裂や骨格異常、さらに腸管の欠損等、p27ノックアウトマウスとは大きく異なることを示した
( Takahashi et al., J. Biochem. )
2001
Skp2ノックアウトマウスにおいてもp27のユビキチン化は起こりうることを実証した。未知の細胞質内酵素活性を検出
( Hara et al., J. Biol. Chem. )
世界で初めてU-box型ユビキチンリガーゼを発見した
( Hatakeyama et al., J. Biol. Chem. )
p27のT187A変異ノックインマウスを作製し、p27がS期からG2期にかけて分解不全を起こすものの、細胞周期は全体として異常なく進行することを報告した
( Malek et al., Nature )
A1ノックアウトマウスを用いて、A1がマスト細胞の生存に必須であることを証明した
( Xiang et al., J. Exp. Med. )
2002
PKCδのノックアウトマウスを作製し、B細胞の増殖が亢進して自己免疫疾患を発症することを発見した
( Miyamoto et al., Nature )
線虫におけるSkp1ホモログについて、多くのファミリーを同定し、その機能をRNAiで調べた
( Yamanaka et al., Curr. Biol. )
Skp2ノックアウトマウスの肝臓を部分切除すると、肝臓の組織容量は回復するが細胞数は増えていないことを発見した
( Minamishima et al., Cancer Res. )
p130ノックアウトマウスを作製し、p130がGABAAレセプターの機能に重要な役割を果たしていることを発見した
( Kanematsu et al., EMBO J. )
p27の主要リン酸化部位Ser-10のリン酸化はp27の核外移行を促進することを発見した
( Ishida et al., J. Biol. Chem. )
CHIPがParkinと会合してE4様の働きをしていることを実証した
( Imai et al., Mol. Cell )
2003
膜結合型イムノフィリンFKBP38がBcl-2やカルシニューリンに結合して、その活性を制御することにより、抗アポトーシス作用を有することを発見した
( Shirane & Nakayama, Nature Cell Biol. )
FWD1(β-TrCP1/Fbxw1)のノックアウトマウスを作製し、βカテニンやIβBの分解が部分的に阻害されていることを証明した
( Nakayama et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA )
p57のユビキチン化がSkp2によって行われていることを発見した
( Kamura et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA )
Skp2のプロモーターを解析し、RasからのシグナルによってGABPが結合して転写を活性化していることを証明した
( Imaki et al., Cancer Res. )
2004
原らが以前発見していたp27に対する未知の細胞質内酵素を精製し、クローニングした。これはKPC(Kip1 ubiquitylation Promoting Complex)と名付けられ、p27のG1期でのユビキチン化に関与していることを発見した
( Kamura et al., Nature Cell Biol. )
p27/Skp2ダブルノックアウトマウスを作製し、Skp2ノックアウトマウスでの異常がほとんど消失することにより、Skp2の主要な標的がp27であることを証明した
( Nakayama et al., Dev. Cell )
c-MycのユビキチンリガーゼがFbw7であることを発見した
( Yada et al., EMBO J. )
われわれが発見した高等生物で初めてのE4分子であるE4B/UFD2aが、ポリグルタミン病原因分子Ataxin-3/MJD1のユビキチン化に関わることを発見し、ショウジョウバエを用いた研究によって、その治療効果を実証した
( Matsumoto et al., EMBO J. )
Cul2とCul5に結合するBCボックスタンパク質を特定し、Cul2-Rbx1とCul5-Rbx2は異なるBCボックスタンパク質(VHLドメインとSOCSドメイン)を認識することを発見した
( Kamura et al., Genes Dev. )
Fbw7のノックアウトマウスを作製し、胎生期に血管分化異常を呈して死亡することを発見した
( Tsunematsu et al., J. Biol. Chem. )
Fbw7がp53依存性のハプロインサフィシエントな癌抑制遺伝子であることを発見した
( Mao et al., Nature )
Duplin/CHD8のノックアウトマウスを作製し、胎生期に強いアポトーシスを呈して死亡することを発見した
( Nishiyama et al., Mol. Cell. Biol. )
2005
p27ノックアウトマウスでは、膵島の肥大によって高血糖になりにくいことを証明した
( Uchida et al., Nature Med. )
p27のS10Aノックインマウスを作製し、G0期の安定性が極度に低くなっていることを発見した
( Kotake et al., J. Biol. Chem. )
c-Mycを分解する人工ユビキチンリガーゼMax-Uを作製し、それががん形質を抑制し、実際に治療効果があることを証明した
( Hatakeyama et al., Cancer Res. )
Skp2がRAG-2をユビキチン化し、VDJ再構成に関与していることを証明した
( Jiang et al., Mol. Cell )
ALDH2ノックアウトマウスを作製し、ALDH2がニトログリセリンによる血管拡張に重要な役割を果たしていることを証明した
( Chen et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA )
E4B/UFD2aのノックアウトマウスを作製し、E4Bが心臓発生に重要な役割を果たしていることを明らかにした。またヘテロマウスでは生後1年程度より脊髄小脳失調を示すことが明らかとなった
( Kaneko-Oshikawa et al., Mol. Cell. Biol. )
KPC2の分子解剖的な検討を行い、UBL-UBAタンパク質として特異な性質を有することを報告した
( Hara et al., Mol. Cell. Biol. )
2006
未知の膜タンパク質プロトルーディンがRab11-GDPに結合して、神経突起形成に重要な役割を果たしていることを明らかにした
( Shirane & Nakayama, Science )
細胞周期と発がんに関与するユビキチンリガーゼ群について、詳細なレビュー
( Nakayama & Nakayama, Nature Rev. Cancer )
PKCδを介したシグナル伝達系が活性酸素による細胞老化に深く関わっていることを証明した
( Takahashi et al., Nature Cell Biol. )
Fbxw8ノックアウトマウスを作製し、この機能未知なF-boxタンパク質がCul1とCul7を橋渡しするような新規複合体を形成すること、胎盤の正常な発生にとって重要であることを報告した
( Tsunematsu et al., Mol. Cell. Biol. )
2007
Fbw7のT細胞特異的なコンディショナルノックアウトマウスを作製し、T細胞の細胞周期停止にFbw7が必須であることを発見した。またこのマウスではリンパ腫の発生を高頻度に認め、Fbw7が癌抑制遺伝子であることを世界で初めてマウスモデルで実証した
( Onoyama et al., J. Exp. Med. )
p27の核外移行がサイクリンD2に依存していることを発見した
( Susaki et al., Mol. Cell. Biol. )
Foxo3aのノックアウトマウスでは骨髄幹細胞の機能が一部喪失することを発見した
( Miyamoto et al., Cell Stem Cell )
2008
Fbw7の骨髄特異的コンディショナルノックアウトマウスを作製し、骨髄幹細胞におけるG0期の減少と骨髄再建能の喪失、およびT細胞急性リンパ性白血病を発症することを発見した
( Matsuoka et al., Genes Dev. )
FKBP38ノックアウトマウスを作製し、神経細胞におけるアポトーシスが亢進していること、プロトルーディンのリン酸化が亢進していることを発見した
( Shirane et al., Genes Cells )
Wnt経路依存的なp27の分解は、Skp2に依存せず、Cul4経路によって起こることを発見した
( Miranda-Carboni et al., Genes Dev. )
統合失調症関連遺伝子FEZ1のノックアウトマウスを作製し、過行動やドーパミン作動性神経の過活動、精神興奮剤への過剰な反応等、統合失調症の症状の一部を再現することに成功した
( Sakae et al., Hum. Mol. Genet. )
2009
クロマチンリモデリング因子CHD8がp53に結合し、さらにヒストンH1をリクルートすることによって、初期胚においてp53によるアポトーシス誘導を抑制することを発見した
( Nishiyama et al., Nature Cell Biol. )
p57遺伝子にp27をノックインしたマウスを作製し、生体内における大部分のp57の機能はp27によって置き換えられることが可能であることを証明した
( Susaki et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA )
Skp2がAktによってリン酸化され、それがSCFユビキチンリガーゼ活性に重要であること、またリン酸化されたSkp2は細胞質へ局在するようになることを証明した
( Lin et al., Nature Cell Biol. )
Protrudinの結合タンパク質としてVAPを同定し、その結合がProtrudinの突起伸長作用に必要であることを示した
( Saita et al., J. Biol. Chem. )
Fbxo45はF-boxタンパク質の一つであるが、F-boxドメインの一塩基置換によりSCF複合体を形成することができず、その代わりにPAMに結合することによって、Fbxo45-PAMという新規のユビキチンリガーゼ複合体を形成することが明らかとなった。またFbxo45のノックアウトマウスを作製したところ、PAMノックアウトマウスとよく似た神経分化の異常が認められた
( Saiga et al., Mol. Cell. Biol. )
2010
Rb欠損マウスでは下垂体に腫瘍を発生するが、これはSkp2を欠損させると完全に抑制されることが明らかとなった
( Wang et al., Nature Genet. )
新規ヒストン脱メチル化酵素KDM7がヒストンH3のK9とK27の脱メチル化を媒介するデュアルデメチレースであることを示し、脳の発生に必須の役割を果たしていることを発見した
( Tsukada et al., Genes Dev. )
Skp2の欠損は、癌遺伝子によって誘導される細胞老化プログラムを促進するが、これは従来提唱されているようなp19ARF/p53経路に依存しないことを明らかにした。またSkp2の阻害薬はp19ARF/p53経路が機能しない癌において細胞老化を誘導し、癌の予後を改善されることを証明した
( Lin et al., Nature )
E4Bトランスジェニックマウスを作製したところ、視床下部の神経内に凝集体が生じ、神経変性が起こると共に、マウスが高度に肥満することが明らかとなった
( Susaki et al., J. Biol. Chem. )
RhoA遺伝子の転写調節にはMyc/Skp2/Miz1/p300複合体が関係しており、Skp2はユビキチンリガーゼ活性とは関係なく、これらの複合体形成に関与する。Skp2の過剰発現はRhoAの増加につながり、癌転移に促進的に働くことが明らかとなった
( Chan et al., Nature Cell Biol. )
九州大学 生体防御医学研究所
分子発現制御学分野
教授 中山 敬一
