第608回 生医研セミナー(多階層生体防御システム研究拠点)
グローバルCOE理医連携セミナー
ヌクレオチドプール研究センターセミナー

下記のとおり、木下 彩栄 先生のセミナーを開催致します。皆様是非ご来聴ください。

演題孤発性アルツハイマー病の病態を探る
:Insights into the pathogenesis of sporadic Alzheimer's disease

演者木下 彩栄 先生
京都大学大学院 医学研究科 人間健康科学系専攻
看護科学コース 在宅医療看護学 教授

日時平成24年2月13日(月)13時半〜

場所馬出医学系キャンパス内 生体防御医学研究所 本館1階 会議室
以下の地図の21番になります。
http://www.kyushu-u.ac.jp/access/map/hospital/hospital.html

要旨 超高齢社会に突入した我が国において認知症の解決は急務であるが、その半数以上を占めるアルツハイマー病(AD)の根本的な予防・治療法はない。最近のアミロイド・イメージング研究から、認知機能障害発症前に脳内Aβ蓄積が出現することが明らかになった。これらは、ADを慢性疾患としてのアミロイド蓄積疾患として捉えなおす必要があることを示している。こうした考え方に一致して、近年孤発性ADの後天的危険因子として加齢や糖尿病・高血圧・脂質異常症といった生活習慣病との関連性が指摘され関心が持たれている。我々はAD発症における生活習慣病、特に糖尿病の関与に着目し、脳外に病態の首座を持つ糖尿病がいかにして脳内AD分子病態に関与するのかの分子機構を解明すべく研究を行っている。特に、Presenilin 1(PS1)およびAPPは、家族性アルツハイマー病の原因遺伝子として発見されたタンパク質であり、病態と深く関わっているにもかかわらず、環境要因との関連を調べた研究は国内外でも数少ない。
 我々はこれまでの in vitro の研究により、糖代謝に関与するインスリンシグナルがPS1のリン酸化を制御し、その機能を変化させることや、モデルマウスを使った in vivo の研究により糖代謝異常が認知機能に影響を及ぼすこと、また運動によりこれが改善しうることを明らかにしてきた。これらを元に、今後は、evidenceに基づいた有効な介入方法を開発したいと考えている。

連絡先生体防御医学研究所 脳機能制御学分野
中別府 雄作
電話:092-642-6800


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