第591回 生医研セミナー(多階層生体防御システム研究拠点)
グローバルCOE理医連携セミナー
免疫機構研究セミナー

下記のとおり、角田卓也先生によるセミナーを開催致します。
角田卓也博士は、東京大学発ベンチャーの先陣を切って、連日ご活躍中です。この度は、角田博士らが、これまでに全国規模で展開されてきた臨床開発の現状についてお話いただきます。 皆様の積極的なご参加をお待ちしております。

演題 Ontoantigenと腫瘍新生血管を標的としたがん治療ワクチン療法における臨床開発

演者角田 卓也 先生
オンコセラピー・サイエンス株式会社

日時平成23年10月25日(火)17時より18時まで

場所馬出医学系キャンパス内 総合研究棟 セミナー室 201
以下の地図の1番の建物になります。
http://www.kyushu-u.ac.jp/access/map/hospital/hospital.html

要旨 腫瘍特異抗原を標的とする細胞障害性T細胞(CTL)が認識するヒトリンパ球抗原(HLA)拘束性エピト−プペプチドの同定(T. Boon, 1991)に成功して以来、このペプチドを用いたがん治療ワクチン療法の開発が活発となり、がんに対する新規治療法として大きな期待が寄せられた。しかし、抗がん剤で用いる評価系(RECIST基準)を適応すると奏功率(CR+PR)は3%前後に過ぎないとの報告があり、がんに対する治療法としては成立しないのではないかと考えられた。しかし、従来の癌に対する薬物療法とmode of actionが全く異なるワクチン治療法に対して、従来の評価基準を適応させることへの疑問やワクチン療法の特徴を熟考した適切な臨床試験デザインであるかなど、論理的にワクチン療法の作用機序を理解した開発手法がとられてこなかった反省があった。これらを考慮して、2009年9月に米国食品医薬機構(Food Drug Administration; FDA)はClinical consideration for therapeutic cancer vaccine (Draft guidance)を発表し、「従来の抗がん剤と全く異なる考え方で臨床開発すべきではないか」とがんワクチン療法の開発方法・考え方を示した。その後、昨年4月FDAは前立腺がんに対してがんワクチン療法を承認した。これは、患者自身の持つがん特異的な免疫能を上げることが実際に臨床的にも有効であることを始めて証明し、我々人類ががんに対して新しい治療法を手にしたことを意味する。それ以後がんワクチン療法の開発は世界的に激しさを増し、大規模臨床試験が次々と開始されており、新しいステージを向かえているのが現状である。本講演では、我々が進めているOncoantigenと腫瘍新生血管を標的としたがん治療ワクチン療法を中心に、世界におけるがんワクチン療法の最新の知見とその特徴ついて発表する。

連絡先生体防御医学研究所 ゲノム病態学分野
谷 憲三朗
電話:092-642-6434


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