第587回 生医研セミナー(多階層生体防御システム研究拠点)
グローバルCOE理医連携セミナー
免疫機構研究セミナー

下記のとおり、菅野仁先生によるセミナーを開催致します。
本セミナーでは、菅野博士らが最近明らかにされた、新規のバイオマーカーの話題と共に、DBA 病因遺伝子解析研究の現状についてご発表いただきます。
菅野博士は、これまでに多くの赤血球酵素異常症の遺伝子診断も行ってこられており、本研究分野のパイオニアのお一人です。皆様の積極的なご参加をお待ちしております。

演題 ダイアモンド・ブラックファン貧血の効果的診断法の開発
〜次世代シーケンサーを用いた
未知の病因遺伝子探索と新規バイオマーカーの同定

演者菅野 仁 先生
東京女子医科大学附属遺伝子医療センター
副所長

日時平成23年9月30日(金)18時より19時まで

場所馬出医学系キャンパス内 総合研究棟 セミナー室 204
以下の地図の1番の建物になります。
http://www.kyushu-u.ac.jp/access/map/hospital/hospital.html

要旨 ダイアモンド・ブラックファン貧血(DBA)は先天性赤芽球癆の一型で、リボソーム機能不全による赤血球分化・成熟障害により発症します。他の先天性造血不全症候群との鑑別にはヘモグロビンF の上昇や赤血球アデノシン・デアミナーゼ(eADA)活性の上昇などを調べる生化学的検査が有用であり、菅野博士らはeADA 活性をルーチンに測定している検査施設として、DBA の補助診断に大きく貢献されてきました。DBA が強く疑われる症例の一部にはeADA 活性の有意な上昇が認められず、確定診断にはリボソーム蛋白質(RP)遺伝子変異の同定が必須です。しかし我が国のDBA registry に登録された患者45 例の解析では12 例(26%)にのみ変異が同定されていて、未知の原因遺伝子同定が課題となっています。
DBA 原因遺伝子探索については、これまでにアレイCGH 解析による微小染色体異常のスクリーニングを実施した上で、厚労省「DBA の効果的診断法の確立に関する研究班」との共同研究により、80 種のRP 遺伝子と無効造血の原因となり得る62 種の赤芽球系細胞発現遺伝子を標的にした大規模シーケシング解析を実施されています。さらにDBA 家族発症例に関してwhole exome equencing を実施していくつかの新しい知見を最近得られています。

連絡先生体防御医学研究所 ゲノム病態学分野
谷 憲三朗
電話:092-642-6434


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