研究所の使命

所長 佐々木 裕之
Director Dr. Hiroyuki Sasaki

2015年4月1日


生体防御医学研究所は生体の恒常性を維持するために重要な「生体防御」を研究テーマに据え、生命現象の本質に迫る基礎研究を展開すると共に、生体防御機構の破綻による疾患の発生機序の解明と診断、治療法の確立を目指した研究を展開しています。これまでも国内屈指の実績を誇り、国際的にも高い評価を受けて参りましたが、現在さらに多角的に生体防御システムを解明するための世界的な研究教育拠点となることを目指しています。

本研究所は九州大学温泉治療学研究所(大分県別府市)と医学部附属癌研究施設(病院地区)が統合されることにより、1982年に発足しました。2001年には、遺伝情報実験施設を統合して大幅な改組を行い、3大部門、2附属研究センターの構成となりました。その後2009年より「感染ネットワーク研究センター」を設置し、2010年には文部科学省から共同利用・共同研究拠点「多階層生体防御システム研究拠点」に認定され、「生体多階層システム研究センター」を設置して共同研究を推進しています。2011年には別府地区の3分野を九州大学病院へ移管し、より一層先端研究に集中する体制を整えました。当研究所の有する最先端の機器や技術、例えば超高速DNAシーケンサー、マイクロアレイ、電子顕微鏡、NMR構造解析、プロテオーム解析、遺伝子改変動物作成サービスは技術室により管理運営され、学内外の多くの共同研究者に開放・提供されています。さらに、2013年より「遺伝情報実験センター」を改組した「トランスオミクス医学研究センター」を設置して、多階層のオミクス技術を用いた医学研究の世界拠点を目指しています。2015年度の構成は、3大部門(8分野)、3附属研究センター(14分野)です。また、大学院教育に於いては、医学府(医学博士)とシステム生命科学府(理学博士)の教育と研究指導を担当し、理医連携のコアとして活動しています。

本研究所は2012年に創立30周年を迎え、九州大学病院別府病院創立80周年と共に、盛大に記念行事を挙行したところです。この30年の間に、本研究所は大きく発展し、生命科学・基礎医学の分野における優れた研究教育拠点のひとつとして認知されるに至りました。さらに、各分野による発見を社会に還元するため、受託研究や産業界との共同研究を通した応用研究も重要視しています。実際に分野のひとつではトランスレーショナルな臨床応用研究が行われています。今後とも活発な研究活動により、生命現象ならびに病理現象を解明し、難治性疾患に対する新規治療法の開発へ貢献することが、我々研究所教員・学生・スタッフ一同の願いです。何卒、ご支援賜りますよう心よりお願い申し上げます。